NOV 19, 2019
EVENT REPORT
ヒトとのつながりが、新領域へつながる。
INTRODUCTION
第6回目の講師は、既存のデザイン領域にとらわれない多領域活動を続ける「アシタノシカク」代表取締役の大垣ガクさん。
クリエイター同士を繋げ、コミュニケーションを誘発する”デザイン会社”の講演を受けた。
新たな領域を担う
「アシタノシカク」とは大阪に拠点を置くデザイン会社、またはクリエイティブスタジオ。
多くのロゴや広告、代表的なものとして関テレのロゴや京都水族館のロゴやブランディングなど多岐にわたり手掛けていますまた、「ASITA-ROOM」というスタジオでの展示やイベントを行っています。
INTEGRATED DESIGN
広告、空間、アートをどう駆使し、統合するか”という理想を持つ”こと。大垣さん曰く、「すべてが完璧に統合出来ているわけでは無いらしいが、当たり前だけど、”理想を持つ”ことがとても大切だ。」というのも、理想を持ちそこに頑張って近づく、寄っていくことと、がむしゃらに頑張るのでは到達する地点が変わるからです。自分たちもそうやってINTEGRATED DESIGNを目指したい!という素敵な考えを持っている会社です。
共鳴を生むデザイン
大垣さんはデザインについて一言で表すと「共鳴現象」だと語った。その言葉の後、映像が始まり2つの音叉が現れる。同じ周波数の音叉は1つを鳴らし止めても、もう1つは鳴り続けている。しかし異なる周波数だと1つを鳴らし止めると、もう1つも鳴らない。
この「共鳴」こそ、人で言う「共感」なのだ。そして、元となる音を止めても広がっていくのがよいデザインである。それに加えて、作り手と受け手が「響き合い」で完成することをデザインに織り込むことが今、特に大切なのだ。
大垣さんは例として3つの事例を語る。
- スリーピングノーモア
- 椅子の子供仕上げ
- JTRRD
これら3つに共通しているのは”語ってもらうことの大切さ”。
受け手が参加し、商品を完成させる。そのエモーショナルな体験をクリエイターが計算、設計することでうまく人を巻き込むことができ、そこからまた新しいインスピレーションが生まれる。そういったあえて完成させずに世に出す勇気が必要なのである
ともに・まれに・たまに
コ・クリエーション ともに作る
コラボレーションは2つの別の価値が組み合わさり新しいものを作ること。だが、2つ以上の専門分野が合わさって新しい価値を作ることをコ・クリエーションとした。
コミュニケーションを起こす場を提供したい「アシタノシカク」ならではだ。
セレンディピティ 良い偶然性
予測外のことをどう良いものとして取り込んでいくのか。例えば、アシタノシカクのスタジオであるASITA-ROOMでは、NO-ONE茶会というイベントが行われた。様々な偶然が重なり、南米チリの裏千家の茶人がお茶会を開いた。
サーチ≠リサーチ 寄り道の幸
サーチは検索である。正解に最短でたどり着く時代ではリサーチは元となる素材を深堀し、様々なデータを出していく。今ではサーチよりもリサーチの重要性が高まっている。
と、ここまでは普通の講演会と同じだが・・・?
ここからはイノーバジャンクションの特有のスタイルで進行。
いったん休憩!後ろにコーヒーがあるのでぜひどうぞ!
というアナウンスがあり、コーヒーを飲みながらの質問タイムに。
ファシリテーターの質問や学生側からの質問も飛び、会話が進みます。
ファシリテーターの方からサーチ≠リサーチの話があり、検索の話、AIの話へとつながる。
大垣さん)目的に対して最適はAIの仕事、なんだけど目的が何かを考えるのは結局人しか無理なんだよ(笑)今後、目的を考えるようなクリエイティビティを担う人は多くなるよね。
ちょっと話が飛ぶけど、仕事でブラック、ホワイトの考えあるじゃないですか。僕の感覚では半分働いて半分考えて遊んでいるところがあるんです。僕はよく新幹線で出張するんですけど、たまに窓口で切符を買うんですよ。そしたら切符を渡す人がいるじゃないですか、僕はあれ8時間しかできないな(笑)いろんな仕事があるから、何でもかんでも8時間にするのはどうなのかなって思うんです。これはよく学生に言うんですけど、仕事を全て苦しい労働に置くんじゃなくて、もっとクリエイティブで楽しいことを多くの人が担う社会になっていくんだと捉えれば働き方もちょっとは広がるんじゃないかな。
質問)自分たちは機能を求めて物を買っているが、大垣さんは新しい価値、自分にとっての出会いを生みそうな物を意識して買っているんですか?
大垣さん) アートが好きでアートを取り込みたいって気持ちがあるのも1つだけど
もちろん僕は、これが起きそうだなと思って買うんですよ。でもみんな実は(出会いを)求めてるってことが昨日わかって(笑)、すごい希望を持っているんですよ。
江戸時代だと本当に多くの人が浮世絵とかを買っていて、みんな買えたんです。でもここ100年~200年でアートって、ギャラリーがあってそこで、お金持ちが買いに行くものになってしまってて。インスピレーションにお金を払うのがすごく限られた人ものになったんですよ。
でも今は、みんな「これおもしろい!」とかでキャラクターとかを買うでしょ?そういう出会いを潜在的に持ってるのかなって。服とかアクセサリーとか、役に立つ、生産性にお金を払ってるだけでは満足しないだろうしそれがますます増えていくのかなって思います。
私も超いまさらの質問しました!
質問) どうしてデザインのお仕事をするようになったんですか?
大垣さん) あ、そこは全然話してなかったですね(笑)
1つは絵とかビジュアルを見たり触ったりするのが苦じゃなかったんですよね、その後美術の大学のに行ったんですけど、そこからの幅がすごい広いんですよ。
なぜデザイン分野にいったかというと、「美術手帖」っていう雑誌があるんですけど内容が難しくて全然、理解できなかったんです。(笑)
ただある時広告のデザインを載せているところがあって、それがすごく理解できたんです。
その体験から広告系のデザイナーになったんです。でも人のクリエイティビティにも特性があって、僕は注文されて課題を解決したり、探したりする方が得意で苦じゃなかったんですよ。
あとは「わかることの楽しさ、面白さ」を仕事にした
突き詰めるとわからないことが本当なんですよね。
時間でもなんでも(仮)にしているっていう本質があるんだけど、わからなさや問そのものを扱うのがアート。
どれくらいわかっていないのかを分かろうとするのが学問や、デザインなのかなと思ってて、僕はそんな距離を詰めていくのが楽しいタイプなのでデザイナーになったのかな。って思いますね。
…そういうとかっこよすぎるので、流されてこういう仕事をするようになりました(笑)
この他にもデザインの領域に限らず様々なお話をお聞きすることができ、後半パートも終了。
取材を終えて
デザインをしている方のお話だったので僕はあまり関係ないかな~と思いながら足を運んだのですが、予想とは違って充実した時間でした。
デザインだけでなく、経済や経営など多くの分野にまたがっていたお話をしていただいた大垣さん。穏やかながらも情熱を持っている人となりを感じることが出来ました。
そして最後には大垣さんがデザインした芸人「Mr.オクレ」のお面で記念撮影!
ありがとうございました!
今後もイノーバジャンクションは開催され、次回は11月14日!
ぜひ足を運んでみてください!
EDITING TEAM
-
Writer
中村慧太
ゼロテン編集室
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Photographer
谷川孝寛
ゼロテン編集室
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副編集長&Editer
川添陸
ゼロテン編集室