DEC 10, 2019
EVENT REPORT
イノーバジャンクションNo.7 「イノベーションの育て方」
INTRODUCTION
・新時代の一般教養:「オープンイノベーション」とは?
・これから「イノベーション」を起こすのはどんな人材?
司会にNEWRON株式会社:代表取締役社長であり、近大でファシリテーターを育てるOGの西井香織さんを迎え、その背景と秘訣をオープンにしていきます!!!
分野を統合する共通言語
開始早々、森澤さんのインターナショナルな経歴が明らかになりました!1年のイギリス留学を経て、製薬業界向けのシステム会社に従事。そして外資系製薬会社勤務を終えて、ロンドンの大学でMBAを取得されました。その直後、設立間もないフィラメントにジョインし、続けて現在代表を務められるThe DECKの立ち上げを行ったということです。以上のような、海外におけるビジネスの学びから経営学の本質に気づいたそうです。(なるほど、だからこんなに綺麗な英語の発音なんですね、、、)
森澤:私が留学した大学院はユニークで、最大で世界の3つのキャンパスでの学びを選択することができ、イギリスで学んだ後、上海とドバイに渡り、新興国のビジネスを学びました。元々、MBAを取得したかったのは、元いたヘルスケア業界でのキャリアアップのためでした。ですが、経営学を学び、ロンドンや上海でスタートアップの声を聞くなかで、自分の人生の選択肢としても、スタートアップでのキャリアはありではないかと思い、帰国後Filamentというコンサルティングの会社にジョインしました。
と、ここで、司会の西井さんから僕も聞いてみたかった質問が投げかけられます。
西井:ちなみにMBAって、起業した時にプラスになりますか?
森澤:直接的にはプラスになるケースは少ないですが、人によっては名刺交換の際におっ?と思ってくれると思います笑 あとは、MBAを取得する際に感じたのが、経営って本当に色々な分野を統合して学ぶ必要があることです。経営学を学ぶことで、会社の中で必要な色々な部署と話せる共通言語を得ることができたように思います。なので、どんなビジネスの人とも話せる素養が身についたと思いますね。
コワーキングスペースから見えること
森澤さんの経験談や経営学の面白さがわかったところで、お次は今取り組んでいる実際のビジネスの話です!コワーキングスペースってなんとなく意味はわかりますが、実際どのようなものなのでしょうか?
森澤:先ほど紹介したFilamentのプロジェクトの中で、The DECKというコワーキングスペースを立ち上げることになりました。そもそもコワーキングスペースとは何か。カフェのようにWIFIがあって、日常的に作業であったりミーティングに使っていただく場所のことですね。そんな場所を運営しています。
大阪にもコワーキングスペースは数多くありますが、The DECKの特徴としては、その利用料だけでなく、企業からのスポンサーシップをいただいているというかたちでの運営です。
実際、大阪府下には100以上のコワーキングスペースがあり、それぞれさまざまな特徴があります。The DECKで先日導入した工夫はパブリックパートナー制度。パブリック、つまり大阪府だとか生駒市のような自治体や、行政機関の方が自由に出入りできるようにしました。そこで「日本一公務員が集まるコワーキングスペース」と銘打つなど、日々ユニークな価値を生み出すために工夫しています。ってめちゃくちゃ前置きが長くなってしまいましたね(笑
いやいや、そんなことはありません、本編並みの情報量の前置きで僕はもうお腹いっぱいでした。ここから別腹でお話を吸収します!ここからが本題!「オープンイノベーション」とは何か?
求められるオープンイノベーション
そして、待ってました!オープンイノベーションとは?
森澤:辞書的な意味では、様々な組み合わせから生まれる革新的なビジネスを生み出す、イノベーションの方法論の一つです。ここで、キーワードが「オープン」なんですね。これまで多くの企業は何でも自前主義だったんです。つまり、一つの会社中だけで全てその活動を完結してしまう状態で、そのやり方で事業を生み出すのに色々な手段がやり尽くされてしまったんですね。だからこそ、新たな、自社だけでは生み出せなかった事業アイデアを他社(者)と組んで出す必要があるんです。企業がそんな変化を迎えるなか、どうやったらその変化に適した人になれるかというお話をします!
世界における日本の現状
ここから世界における日本の現状について触れていただきました。私はこの話を聞いて正直ショックでした。日本という国がどんどん世界に遅れをとっているからです。
森澤:今、日本では「時代の変化に追いついていない」人に合わせた状態になっており、とても世界から遅れた状況なんです。例えば、日本はGDPが2位から3位に落下しましたし、その順位は更に後退することが確実です。1992年には、世界の時価総額トップ50のうち10が日本企業でしたが、今トップ50に残っているのは「トヨタ」1社のみなんです。世界ではより価値の高い企業が生まれ続けています。つまり環境の変化に対応した国・企業が残っていくのです。
今起こっている2つの「イノベーション」要因
森澤:このランキングの変化をもたらしたイノベーションの要因は大きく二つ。
1つは“インターネットの普及”です。例えば、調べるという行為。昔は図書館に行かなければならないところを今ならグーグル一発で解決です。
2つ目は“スマートフォンの普及”です。例えば、昔なら新聞を読んで得た知識が、電車に乗りながらアプリで得られます。ご飯でもそうです。雑誌やテレビなどのメディアで得ていたマス向けの情報が、今ならインスタで自分好みのものを能動的にいつでも探せます。
つまり、、、
時間的制約からの自由によって、創造的なことをする時間が増え、空間的制約からの自由によって、なんでもその場でできるようになりました。
これから求められる能力
今はVUCAの時代である
V Volatility 変動性・不安定さ
U Uncertainty不確実性・不確定さ
C Complexity複雑性
A Ambiguity曖昧性・不明確さ
森澤:VUCAの時代というのは、変化し続ける時代ということです。さらに、その変化は加速度的に進みます。人々の関心も変化するので大ヒットが生まれにく、コモディティ化(一般化)の進行も速い。だからこそ、決められたことだけをできる人ではなく、スピーディでスモールな取組の中から仮説検証を繰り返しながら解を探す人が必要になるのです。
価値を生み出せる人とは?
ここで森澤さんより聞きなれない単語が発せられます!
司会の西井さんも「ここからめちゃくちゃ面白いからぜひ注目して!」との合いの手が入ります。
森澤:これらの状況をふまえこれから重要なのは、、、
T型人材:専門性を深掘りできる人材(→こちらももちろん必要)
H型人材:専門性のある人をコネクトする人材→専門領域をまたぐ人 ハブ的な存在
→離れた専門分野の人や知識をつなぐがこれから重要になってくる。オープンイノベーションのキーパーソン。
森澤:H型人材になるためには、知ることをポジティブに楽しむ力、「面白がり力」が必要になってきます。色々なものをポジティブに面白がれるかどうか。人は、自分が好きなことは関心を示し、自然に調べますが、それでは関係ない領域まで広がりません。一方で、初めて出会う他者の話も、面白がって聞くことで、リアルな知識や引き出しが増え、このH型人材に近付けます。
離れた専門分野の人や知識をつなぐがこれから重要になってくる。
森澤友和
The DECKの代表取締役CEO Filament, Inc.の取締役
面白がり力
「面白がり力」?なんだか面白そうですね。
面白がり力3か条
- 相手の良いところ・ほめるところを探す
- それを言語化する
- 好きなことを語れる交友関係を広げる
たったこれだけ!!!誰でもできます。
そして森澤さんよりワークショップの提案がありました!
隣の見知らぬ人と組んで自己紹介し合い、実際にその人の良いところを褒めてみましょう。
早速私も体験しました!
正直めちゃくちゃ気分良くなりました!
褒めるのも気持ちいですが、やっぱり褒められるのは最高に気持ちいいです!!!
自分では、あまり聞き上手と思っていませんでしたが、他者から言ってもらえるととてもいい気分ですね!
隣の人と自己紹介しあったら、他己紹介タイム。先程会話した隣の人を、順番に全体に紹介します。そのとき、その人のことで私が面白いと思った点、すごいところなどを強調して紹介することを森澤さんから促されました。
そして最後はフリートークへ。
なんと参加者にはたくさんの起業家がいて、すでにイノベーションを起こしている人がとても多かったのです!
せっかくなので以下の質問をしました!
「なぜ起業をしようと思ったのですか?」
すると参加学生はそれぞれにきっかけがありました。
「自分が感じてきた、電車の中で死んだ目をした社会人をどうにかしたい」
「性別の問題についての活動をしていく中で立ち上げた」
「ビジネスしたらたまたま儲かった」
気づけば私はそれを「面白い」と思って、コーヒーを飲むのも忘れ、前のめりになって聞いていたのです!
いきなり「面白がり力」に取り憑かれてしまいました笑
最後、記念撮影にて、「オープンなポーズを!」と西井さんからのナイスな提案より皆でオープンに写真を撮りました笑
以上、現場より第7回イノバジャンクションでした!
12月の年度末にはどのような締めくくりがなされるのでしょうか?
楽しみですね。
さあ、皆さん!全てを面白がってみよう!!!!
EDITING TEAM
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Writter(ゼロテン編集長)
濱崎洋嗣
総合文化研究科心理学専攻2年
-
Photographer
中村慧太
経済学部3年