JUL 05, 2019

EVENT REPORT

ハンブルク美術大学ゲスト講義:Knoth & Renner

INTRODUCTION

先端的なWebデザインで注目のドイツのデザイナーKnoth & Renner
KINDAI DESIGN LABとハンブルク美術大学との交換事業で来校する彼らからデジタルカルチャーとグラフィックデザインが交差する新しい領域の講義を受けた。

ウェブサイトの新しい領域に触れる

ドイツで最先端のアートをする二人

Knoth 「私はグラフィックデザインとタイポグラフィを勉強し、今ウェブ中心の仕事をしています。日本では、グラフィックデザインやタイポグラフィとプログラミングは分離されています。しかしドイツでは先端的です。二人とも10年以上の付き合いで、ハーランにある美術学校で学生の頃から一緒に学びました。」

 二人ともドイツにスタジオがある。アートだけでなく、同時にプログラミングも勉強してきた。クライアントは文化的施設や美術館など、インターネット上でビジュアルなモノを制作する際にコラボレーションする事が多い。だがデザイナーとしてだけではなく、ハンブルク大学で教鞭をとりデジタルグラフィッククラスを担当している。講義のカリキュラムはやり方ではなく、生徒自身が制作したいモノを一緒に作って行く。

ハンブルク大学講師 Knoth & Renner

Webサイトにコンテクストをのせる

 最初に見せてくれたプロジェクトは現代美術のアーティストの展覧会のプログラムのため透明性を表現したウェブサイトである。

Knoth 「このサイトの右上の青いボックス、これは皆さんがサイトを訪れた時の個人情報を取っていて、表示しています。ウェブのブラウザやIPアドレスに残っている情報をここに載せています。全部のウェブサイトでサイトを訪れれば、自分の情報をデータに変換して、他のサイトに差し出している。個人情報は知らないうちに流れて抜き取られているということを、可視化できるようにデザインしました。」

外にあるコミュニケーションを可視化しウェブサイトを作る。

 これは2015年に作ったサイト、アーティストのレジデンスというプログラムのネットワークのためのサイト

Knoth 「普通ウェブサイトはクリックしたら情報を探し出すのですが、これはクリックすることのたびに地球の形が作られて行く。これは記録されていくので、一度消して、もう一度立ち上げた後も残っている。二度と同じ状態に戻せない。」

Webサイトに何か一つ介在したコンテクストを入れる

Knoth

ハンブルク大学講師

 基本インターネットを通じて普通のコミュニケーションをしていても面白くない。普通はこうだろうなというコミュニケーションのところに、外にある可視化できていないコミュニケーションを表現している。

 今年ドイツの美術と建築に関する総合的な教育を行うブウハウスの学校が100周年に迎えたので、たくさんの国でそれを祝うイベントが開かれているのですが、このWebサイトは全てをまとめたウェブサイトがこちらです。

Renner 「多言語を扱うのはとても難しかったです。研究者や歴史学者たちの論文の字数が多すぎることや、途中のスライドショーに写真が挿入されていたり、処理をするのがとても大変でした。このサイトの面白い特徴は右下にある自分のテキストコレクションに、まとめたPDFに自動で組み替えて保存してくれます。」

二人が発見し磨く哲学

 アーティストとコラボレーションした際に、賞金で本を出すことになりました。コラボしたアーティストはデジタルカルチャーを主に扱っていて、Webサイトのデザインと同様の方法でブックデザインをしている。

!Mediengruppe Bitnik

Renner 「この本を作るときにタイトルがなかなか決まりませんでした。僕たちはプログラミングのコードを扱っているので、最終的にタイトルをコードにしています。これはあるコードをタイトルにしたので、EコマースやAmazonでこの本のタイトルを打つとプログラムにエラーが出る仕組みになっています。誰しもがこの本にたどり着くことはできません。通常、アラートは出ないようにしていますが、この本はわざとエラーが出るタイトルにして、サイトの管理人も予想外となリマス。本のタイトルを変えることにより、ウェブサイトの裏側をここで表現し動かす事ができる。Ebeyのような大規模なウェブサイトも本のタイトルだけでハックすることができます。」

変化していけること、終わらないこと、
インターネットで起き続けることをやっている。

Knoth

ハンブルク大学講師

Knoth 「ウェブサイトの面白いところは完成しないコンテンツであり、どんどん変えて行くことができる、進化することができる。紙の印刷物は印刷会社に出してしまうと終わってしまう。だから一度制作が終わってしまうと中身は変えられない。しかしウェブサイトはいつでも変えることができるます。僕たちは皆さんがウェブサイトで気軽に操作しているが、可視化できない裏側を表現することをやっています。是非興味があればWebサイトを見てください」

Thank you all for coming

講義を終えて

 非常に刺激的な講義でした。デザインとサイエンスを組み合わせた最先端のウェブサイトは、僕が今までに見たことのない革新的なUIデザインばかりで驚きだった。

 一般的なUIはユーザーがサイトやアプリをスムーズに使いやすく設計しますが、何よりウェブサイトの裏側にある文脈からユーザーとのコミュニケーションをするUXに感銘を受けた。そして彼らが挑戦し続けているサイトの可視化できない裏側を表面的に見せること、込められている文脈を動的にウェブで表現することは僕の感性を刺激してくれ、デザインの視野が更に広がった。

早速、!Mediengruppe Bitnik を入手したいと思います。

EDITING TEAM

  • Writer&副編集長

    川添 陸

    ゼロテン編集室

  • Photographer

    椋野 起信

    ゼロテン編集室