18 異形との出会い

人は生来の不具や病で生じた身体の欠損を忌み嫌う一方、聖なるものとして崇めてきた。醜さと引き換えに、超自然的な力をもったと考えられた。死への恐れから、生者と死者との間に様々な異形者を人は想像する。日本人は妖怪を見出し、西欧は魔女を、西インド諸島ではゾンビを生み出した。 マンガでは、妖怪は時に親しい隣人として描かれ、魔女は自身の異能力に思い悩む少女となり、ゾンビは論理が通用しない直線的な存在として描き出される。異形者の描き方が三様であるのは、我々の異文化に対する見方の現れでもあろう。すべての他者は異形の者なのである。

CORE BOOK

「異形との出会い」を象徴する本です。

のんのんばあとオレ

べとべとさん、あかなめ、小豆はかり。妖怪は水木しげるがまだ幼かった昭和初期までは身近な存在であった。その多くは素朴な自然信仰がキャラクター化されたものであり、竈や風呂桶をきれいに掃除しておかなかったら出てくるといった生活の知恵に起因するものでもあった。「目に見える世界とは違うもう一つの世界」の存在を子どもたちはのんのんばあのようなお年寄りから口伝で学んだ。この原体験が後に『ゲゲゲの鬼太郎』を生むことになる。

  • 18 01

    死体以上・幽霊未満

    死後の世界は存在するのかどうか。人類にとって永遠の問題である。死体は無言のまま何も語らない。現世と来世の間にあってどちらにも属することのできないものが霊魂や亡霊となってこの世を彷徨うと、世界各地の民間信仰にある。日本では憑依霊のように災いをなすものや守護霊のように助け導くものが信じられてきたが、小泉八雲が『怪談』としてまとめたように、現世への未練や恨みを募らせるケースが多く語られてきた。

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  • 18 02

    エンドレス百鬼夜行

    西洋では吸血鬼や狼男、人魚。日本では鬼や天狗、妖怪たち。神話・伝説・民話の中で語られ、多くの場合超人的な能力を持ち、不老不死とされる。神でもなく人でもなく、かつてその間にあってどちらからも疎まれたのはその異様な外見に明らかである。現代のマンガでも呪われた運命に抗う、醜い日陰者として描かれることが多い。人類の敵にもなり、味方となる。我々もまた時として鬼となり、天狗となる。

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  • 18 03

    となりの魔女ッ子

    神と関わる力は善悪二面性を持つ。中世のキリスト教において神と人の仲立ちを修道士が担った裏で、悪魔と人の間は魔女や魔術師が担った。それは本来フレイザーが『金枝篇』で説いたように民間信仰がキリスト教と結びつくことで発展したものだったが、後にジャンヌ・ダルクに代表されるように排斥される対象へと反転した。今日のマンガにおける魔女や魔術師はそういった歴史に関係なく、ファンタスティックな力を持つ者として描かれる。

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  • 18 04

    ゾンビも踊る

    日本では死者の姿として幽霊を想定したが、ハイチのブードゥー教におけるゾンビ、あるいは中国のキョンシーのように「生ける屍体」を想像した地域も多い。それが現代日本においてマンガや映画のモチーフとしてよく用いられるようになったのは、我々の生活において古きよき日本の心が希薄になり、無国籍的な生活を送っているからか。腐敗した肉体は汚らわしいものであり排除すべきものという感覚もまた祖霊信仰の衰退と捉えられる。

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「ALIEN」には他にもこんなテーマがあります。

  • 17

    神と悪魔の語り部

  • 18

    異形との出会い

  • 19

    目覚めたら超能力

  • 20

    ホラーにハマりたい