25 一球入魂のメイクドラマ

野球は日本の国技ともいえるスポーツである。攻撃と守備が明確に分かれ、役割が専門化していく野球のイメージは、戦後の経済復興の原動力となった企業戦士の姿と重なる。 草野球、高校野球、プロ野球からメジャーリーグへ。野球に見る日本人の夢は、グローバル社会を象徴するように、舞台を世界に移していく。それでも野球の中には何か日本的なるものが残響している。野球マンガのドラマを通して、そこに流れる日本文化を読み解きたい。

CORE BOOK

「一球入魂のメイクドラマ」を象徴する本です。

ドカベン

主人公は神奈川県の明訓高校野球部のキャッチャー、「ドカベン」こと山田太郎。キャッチャーが主人公であることも本作の特徴のひとつだ。明訓5人衆やライバル白新高校のエース不知火守など類いまれな野球センスをほこる個性豊かな登場人物たちが甲子園優勝を目指してエキサイティングな試合を繰り広げる。大甲子園編では水原勇気ら他作品のキャラクターが入り乱れ、プロ野球編ではイチローや松井秀喜、王貞治が登場し虚実入り混じる野球世界を作り上げた。『野球狂の詩』『あぶさん』と並ぶ水島新司の野球漫画の代表作である。

  • 25 01

    ビッグエッグへようこそ

    1992年に出版された『和をもって日本となす』。その中で著者のロバート・ホワイティングは日米野球の比較をすることで、日本文化の特質を炙り出してみせた。四半世紀が過ぎ、日本選手が大リーグで活躍することも珍しくなくなり、イチローのように大リーグの記録を塗り替える選手も登場した。それでも、日本人が愛する野球にまつわる物語には、日本の感性や文化や精神が脈動していることは間違いない。

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  • 25 02

    九回裏二死満塁

    交互に攻守を変え、表裏でスコアを入れながらゲームをする。団体戦でありながら、ピッチャーとバッターの一対一の対決がある。超人でも、いつもホームランを打てるわけじゃないし、完封も儘ならない。ランナーの帰還をめぐって、団体戦ならではの駆け引きがある。甲子園球児に向けられがちな熱や挫折や集中や瞬時性ばかりではなく、日本の野球には日本がひそんでいる。

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  • 25 03

    エビ反る魔球

    明治に試合ではじめてカーブを見た選手は、それを「魔球」と称したという。魔球とは、人が投じる球でありながら、原理や攻略法がわからない球種、投法を指す。特訓、難行によって生まれた魔球は、その原理を見破られたときから、直球以下の無価値な球種へと堕落する。人はなぜ魔球に魅せられ、新しい魔球を欲しがるのか。発想としての魔球、魔球への精神依存、魔球と資本主義社会。魔球に胸を躍らせながら、さまざまな観点から魔球を考察してみたい。

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  • 25 04

    いきなりワイルドピッチ

    プレイをするか、観戦をするか。応援をするか。傍観をするか。野球は日本人の風景となり、生活の一コマとして定着した。空地で試合をした思い出もあれば、恋の相手が野球部員だったり、父親が熱狂的な阪神ファンだったりする。故郷を離れて暮らすことが多くなり、共同体を喪失した日本人にとって、野球は多くの日本人が共有できるイメージのふるさとなのである。野球をバックに描かれる、家族、恋愛、笑いのストーリーは、私たち誰もが共感できる物語なのだ。

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  • 25

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  • 26

    アスリートのボールゲーム

  • 27

    どついたるねん

  • 28

    百花繚乱の身体