OCT 15, 2019

EVENT REPORT

リアル編集力講座:京都宇治朝日焼体験 事前セミナー編

INTRODUCTION

8月30日にあるリアル編集力講座のロクロ体験事前セミナーが行われました。
え?編集とロクロって何の関係があるの?と思っていた私でしたが、「なるほどな」と頷きまくりでした。今回講師をされているのは、編集工学研究所の橋本英人さんです。

“「編集」=色々な情報を組み合わせて「新しいものを生み出す」”

「編集」は、いかに情報を集め、関係づけ、形にするのか。その手法とプロセスを「型」で磨いていくもの。陶芸は、まさに「編集」。その土地ごとの「土」という情報を扱い、手やロクロを使って型通りに、もしくは型から外れながら、伝統の形が継承されつつ現代に合わせた器ができていく。

私はここで、「なるほど!編集は、記事や画像、動画を編集するだけじゃないのか。」と頭の中で思いました。陶芸も、機械を通してではなく、実際の人の手によって形づくられていく古くからある伝統的な編集。編集と簡単に言うけど、私たちの生活のあらゆる物が編集されていると気づきました。京都・宇治にある「朝日焼き」の工房で、土ひねり/ロクロでの作陶体験は、一番「編集」という作業を体験できるものだと思いました。

さて、「編集」というものがわかったところで、今回のセミナーに入りましょう。
事前セミナーには体験当日を楽しみにされている12名の方が参加されていました。

【コンテンツ】

  • 自己紹介
  • ミニワーク①
  • エクササイズ①②
  • ミニワーク②
  • 当日イメージ

自己紹介

1. 学年、学科、学部、お名前
2. 普段どんな勉強や活動・バイトをしているか
3. 講座に期待していること
4. 「おかしなわたし」

「おかしなわたし」ってなんだ?!
ここでは自分を「お菓子」に例えて自分はどんな人なのかを紹介します。色、形、味、食べ方など、注目できる情報はたくさんありますね。情報収集力上がりそう!
ちなみに私は「噛み応えがあり味濃いめなおせんべい」です。そのこころは、「知れば知るほどクセがすごい」。(千鳥好きなんです。笑)

自分をお菓子に例える自己紹介、斬新ですね。皆さんそれぞれどんなお菓子で表現したのか楽しみにしながら自己紹介していました。

ミニワーク①「ブラインド・スケッチ」

1枚の絵が配布されます。自己紹介をしたグループのなかで「説明する人」と「描く人」を決めます。説明する人は、何を言ってもOKだが、「そうじゃない」「もっと右」などの直接的な指示は禁止。描く人は、説明を聞いて「絵」を再現します。質問は禁止。
さぁ、どんな「絵」が再現されるのでしょうか!

わぉ!再現率高い!説明する人は、「絵」から読み取れる情報を的確にわかりやすく伝え、描く人は、その情報を的確に受け取り、正確に再現する必要がありますね。ここのグループは上手くいったみたいですね。

私たちは、見たものや聞いたこと(インプット)を話したり描いたり(アウトプット)しています。しかし、それぞれ違うコトバとイメージを思い浮かべています。アタマの中でインプット、アウトプットを無意識にしてしまっているのです。
無意識なインプットとアウトプットの「」を意図的にマネジメントすれば、発想力、コミュニケーション能力、伝える力、考える力、は伸びていくのではないか?と橋本さんはいいます。

エクササイズ①

「りんごから何をイメージする?」
りんごからイメージされるものは人それぞれで、「果物」からバナナを連想するように、「味」「産地」などから情報をさまざまに連想している。

エクササイズ②

「昨日一日の出来事を思い出してください。」
16時間分のことを思い出すとき16時間もかからず、大体のことはすぐに思い出すことができる。これは情報が何かに関連されて一気に要約されているからである。これも無意識的に行っていること。

エクササイズ①②のまとめ

曖昧で無意識な[連想して要約する]という「思考」プロセスを、
意図的にマネジメントする力→「編集力」を鍛える

「新しいものを生み出す」

いきなり新しいアイデアはうまれません。日常からの豊富な「収集」と、意外な「関係づけ」が大事!そのために連想と要約、4つのプロセス(収集、関係づけ、構造化、表現)を意識する!

今回は「陶芸」を通して編集力を鍛えるので、「表現」の形は決まっていますが、どのような形にするのかは、多くの情報収集と関係づけによって変わります。
「朝日焼」がどういったプロセスでできているのか(歴史や背景)に着目すると、色々な面に対しての発想力が深まると橋本さんはいいます。

わび さび すさび
千利休が追求した「侘び」の美は、質的に(美的に)優れたものであることだが、弟子である古田織部があえて「そこないの美」「事足りぬ美」を追求した。そして小堀遠州は閑寂さのなかに、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさである「寂び」の美を考案した。このように変容していくことを「すさび」といい「古き良き」が継承されている。

あえて不完全な形を美しいとする感覚をとりいれてもおもしろい陶器ができるかもしれないですね。

ミニワーク②

「地と図」
右の絵は何に見えますか?
壺に見える人や顔を見合わせている二人が見える人がいると思います。

「地」は情報をみる視点や背景のこと、
「図」はその情報の背景のもとに立ち上がっている情報の意味をさす。
この絵の場合、どちらも「地」と「図」になることができます。だから、2つの見え方ができるのです。

エクササイズ①のりんごのイメージも、「地と図」で取り出すことができます。赤を連想した場合、その背景は「色」です。青森を連想した場合、その背景は「産地」です。逆に背景が取り出せれば、他の発想も出てくるのです。引き出しがたくさんあれば、情報をその倍以上に出てきます。こうして新しい発想を生み出していく力をつけていくことが大事なのです。

当日イメージ

最後に当日作る「陶器」の細かいイメージをしました。
形、模様、装飾のイメージを絵に描いて、みんなで共有しました。
湯飲みとティーカップを組み合わせたデザインをしたり、流れる感じの模様を描いていたり、みなさんイメージを膨らませ当日への期待が高まっているようでした。

今回学んだ意識的に連想と要約の思考プロセスを行い、自分なりの美を陶芸で表現し、当日のフィールドワークで「編集」を体感してほしいですね!

EDITING TEAM

  • Writer

    米田 来美

    ゼロテン編集室

  • Photographer

    樋口 晃大

    ゼロテン編集室