NOV 22, 2019
EVENT REPORT
自分らしさが見えてくる「beの肩書き」ワークショップ
INTRODUCTION
そもそも「be肩書き」って?
beの肩書きの説明に入る前に、「肩書き」は2種類に分けることができます。
- 「doの肩書き」
「私はこんなことをしている人です」という紹介で、一般的に名刺に書かれている肩書のことです。
具体例としては、運転手、大学教員、部長、課長、パート、会社員などが挙げられます。 - 「be肩書き」
「私はこんな人です」という表明で、be(=在り方)を表すモノです。
例えば、同じdoの運転手であっても、気配り上手な運転手もいれば、コメディアンのような運転手もいますよね。表面的な肩書きではなく、その人にとっての価値観や特性なのがbeの肩書きと言えます。一人ひとりのbe(あり方)は異なるはずなのに、do(所属や職種など)でひととくくりにされてしまいます。自分自身を語る機会がなくなり、自分の大切にしている部分が見えなくなります。この時に大事なことが、「beの肩書き」です
左の図をみてください。
「doの肩書き」は”大学教員”の部分にあたります。これは表面的な事柄であり、世の中のニーズによって変化します。つまり、変化しやすいものであることを覚えておいてください。
一方、「beの肩書き」は”勉強家”にあたります。これは潜在的な事柄であり、自分の奥底に眠っています。つまり、潜在的なもので変化しにくいものなのです。「beの肩書き」を理解していれば、人生で何か選択する時にブレることはありません。
どんな良いことがあるのでしょうか?
曖昧な「自分らしさ」を言葉にでき、モヤモヤした気持ちがなくなります。さらに、本当にやりたいことを整理出来たり、進むべき方向に自信が持てたり、深いつながりが生まれることがあります。本当の自分に出会え、自分の大切にしたい価値観を見つけることができると、生き辛さが徐々になくなってくるはずです。
じゃあ、どうすれば見つかるのでしょうか?
3つのキーワードがあります。
- ユーダイモニア
アリストテレスが幸せには2種類の種類があると考えていました。それは「ヘドニア」と「ユーダイモニア」です。「ヘドニア」とは一時的に楽しく感じられるのですが、必ずしも自分の可能性を発揮する必要なく、何もしないまま消費してしまうものです。
一方、「ユーダイモニア」とは周りに左右されることはなく、自分の軸や価値観に従って、自分の可能性を最大限に発揮することができるというものです。 - リフレーミング
「フレーミング」とは物事を捉える枠組みのこと。心理学で「リフレーミング」は捉え直すこと。例えば忘れっぽい人はいますか?忘れっぽい人はポジティブ心理学で幸せ度が高いと言われています。また他人からは好奇心が旺盛だなって言われます。このように同じ出来事(短所やコンプレックス)が実は長所であったり、チャーミングポイントであったりという気づきに繋がります。無理に自分のことを変えるのではなく、捉え直すことが大事です。 - メタファー
「メタファー」はあるものに例えることで自分のことを外在化し、語り合うことを可能にします。例えば、「芸人のような面白いトークができるbarの店主」であれば、「barの店主」は自分が選んだもの、「芸人のようなおもしろいトークができる」は他者からの強みのパラフレーズにあたります。あくまでメタファーなので、言葉遊びかのような気持ちでやってみることが大事です。
この3つのキーワードを基に自分の「beの肩書き」を見つけていきます。
新しい自分に出会える質問
ヒントとしてのオープンクエスチョン
(質問するときに「はい」「いいえ」などの選択肢がなく、回答者が自由に考え、答えることができる質問のこと。)
ここから3つの質問を簡単に説明していきます。
- 自分ではあたりまえでも、周りから「すごいね」と言われることは…(1つのことを深く話す)
自分では当たり前なのに周りからすごいといわれたことはありませんか?
もし、そうなのであればbeの肩書きかもしれません。自分にとって当たり前にできることは自分では価値のないものであると感じるものなのです。しかし、それが自分にとって得意なことや価値の高いものなのです。 - 「〇〇のやり方」「〇〇の基本」というテーマで誰かに伝えられそうなことは…(自分の心に響くかどうかで判断する。)
例えば、通学時間が2時間の人がいたとします。その人が2時間の使い方が非常に上手く、他人にとって非常に価値の高いものだったとします。この時、「通学時間2時間の効率的な使い方」という風になるわけです。 - 何かを頼まれたときに、「これなら役に立てそう」「力を発揮できそう」と思うことは…(これはできそう、できなさそう、を考える)
例えば、DIYは苦手ですが、結婚式での司会は非常に得意で、楽しいと思っているとします。大事なことなのですが、人が困った時には自分の得意なことが発揮できるチャンスであると認識することが大事です。
実際に今まで学んだことを実践していきます。3人1組でお互いに自分のことを話していきましょう。
ワークショップの風景
心理的安全な場を作るための3つの役割
- 語り手は先程のオープンクエスチョンの3つの中から1つ選び、3分半そのトピックについて深く話します。
- 聞き手は語り手の話をとことん聞き、うなずきや相手から視線をずらさず話を聞くことに没頭します。この時注意することは、聞き手は絶対にマウンティングしないこと。(*自分が相手の意見に納得しなくても話を聞き続け、心理的安全的な状況を作ることが大事になってきます。)
- メモ係は話の内容や語り手の顔つきが変わった瞬間をメモするなど、変化をメモします。フィードバックすることで語り手に気づきを与えます。
当初、 参加者はそわそわしながら、緊張している様子でした。しかし、自分のことを深く話しても大丈夫な空間だと認識すると、徐々に自己開示していきました。
参加者が和気藹々と話す姿は、まるで仲の良い親友と話しているようでした。つい1時間前に出会ったばかりなのに、ここまで楽しそうに話せるのは、他人が自分のことを深く知らず、「素の自分を出しても良いんだ」という心理的安全な状態を作れていたからです。参加者はそれぞれ、語り手、聞き手、メモ係を体験し、自分の役割を全うしていました。
結び
beの肩書きワークショップでは、まるで言葉遊びのように誰かと一緒に楽しみながら、自分のbeの肩書きを見つけていく。「メタファー」によって、今まで見えていなかった新しい自分に出会うことができる。しんどい時、辛い時に「自分のbeの肩書きは〇〇だから、大丈夫」という風に言い聞かせ、納得することができる。そうすると、少しずつ余裕が出てくる。
最初は、納得する肩書きを見つけることが出来ないかもしれない。それでも、自分は他人からこのように見られているんだという気づきが大事であることを忘れてはならない。人からの意見を大切にし、本当の自分に出会うことを模索してほしい。
EDITING TEAM
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メンヘライター&Photographer
谷川 孝寛
ゼロテン編集室