実学シーズ

漁業協同組合の新しい取り組み:アカモク由来の美容成分フコイダン

多賀 淳

  • #サステナビリティ
  • #プロデュース
スーパーフード「アカモク」の中に多く含まれているフコイダンという成分は、水溶性食物繊維であると同時に優れた保水性を有する美容成分です。アカモクから高分子のままフコイダンを取り出し無臭化させる精製方法を最適化し、高い保水性を持つことを確認しました。また、原料製造企業と共同で、アカモク由来フコイダン抽出物の規格化および測定法を短期間で確立し、化粧品に利用するための原料化に成功しました。強酸性の硫酸化多糖であるフコイダンの保水性は、pHの影響を受けにくいため、様々な処方に利用できると期待されます。

いま取り組むべき社会課題

近年、太平洋沿岸地域では黒潮の大蛇行による水産資源の減少や不安定化が問題となり、漁業従事者や組合の収益は下降の一途をたどっています。その打開策の一つとして化粧品事業によって組合の収入が安定化することが期待されます。また、化粧品に利活用することで食用に適さないアカモクもフコイダンの抽出に利用することができるため、限りある海の資源の有効利用や、海域保全にもつながると期待されます。

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まだ世の中にない新しい魅力

「アカモク」由来のフコイダンの高保湿性能が注目され始めたのは最近のことであり,フェイシャルケアで上市した美容液「AKKYURA」はアカモク化粧品の先駆けと言えます。これまでの糖質保湿剤としてヒアルロン酸などがありますが,その親水性基が弱酸であったため,処方のpHには制約が出て来ますが,強酸性基を持ったフコイダンは様々なpHに適用できると考えられます。

研究をもとにしたプロダクトと挑戦

現在の利用・活用シーン

紀州日高漁業協同組合の収入安定化と海洋保全を目標として美容液「AKKYURA」が発売されました。

挑戦したい領域・分野

由来の異なるフコイダンと保水性試験結果を比較したところ,優位性が示されていますが,今後,由来別フコイダンの硫酸化度等の特徴を調べて科学的な根拠データを固めたいと考えています。

事業者の皆様へのメッセージ

このアカモク由来フコイダンはすでに無臭化に成功しているので無香料化粧品の原料にも適しており,化粧品分野におけるアカモク由来フコイダンの使途を拡大したいと考えています。

より詳しい情報を知りたい皆様へ

解説者

多賀 淳

Atsushi Taga

薬学部医療薬学科

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