02 イメージの実験工房

マンガはメディアとしての歴史は新しい。そのため、常に新しい方法を切り開いてもきたし、新たな表現にチャレンジもしてきた。マンガが歴史を重ねてくると、新しいマンガにも「型」ができてくる。その「型」を破り、「型」を離れて、新たな「型」を生み出そうとする先駆者たちがいる。マンガにつきもののコマ、吹き出し、ハコビを崩してみたり、約束されたストーリーを破綻させてみたり、文学の特権であった内省的かつ哲学的思索に向かってみたり。ここでは方法の挑戦者、イメージの実験者たちの作品を集める。

CORE BOOK

「イメージの実験工房」を象徴する本です。

ねじ式 : つげ義春作品集

海岸でメメクラゲに左腕を刺された「ぼく」が、不案内の漁村でイシャを探しまわり、婦人科でシリツをされて左腕にネジを装着される不条理な夢を描いた『ねじ式』。釣り人の主人公が山中の売店で出会った少女キクチサヨコ、少女に仄かな恋心を抱きいたずらをする少年シンデンのマサジとの叙情豊かな交流を描いた『紅い花』。墨塗りのコマや以後の温泉紀行は後続の漫画家たちに大きな影響を与えている。『ねじ式』は、『ガロ』の昭和43年(1968)の増刊号に掲載されるや、つげブームを巻き起こした。

  • 02 01

    コミック・レジスタンス

    マンガとは「コマ割りを持つ絵物語」を指す。しかし、そうした決まり事は不要とばかりに「コマ割り」を破壊し、「絵」を崩し、「物語」を破綻させた一群の作品たちが存在する。無論、これらの操作は意図的なもので、技術的な未熟さを意味しない。彼らは実験作とかシュールといった見出しとともに紹介される。マンガといえど様式化されてしまうと、作者たちの創作意欲を大いに削いでしまう。ここに並ぶ作品たちはそうした枷(かせ)への反逆児である。

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  • 02 02

    日常アンニュイ

    昼ご飯を食べながら、あなたが昨日の愉快な出来事を友だちにお披露目したとする。それはまさしく<物語>だ。ひとは経験したことを筋道立てて、周囲のひとびとに話さずにはいられない。そんな遺伝子が胎内に組み込まれている。ここで隣人たちの暮らしをちょっと覗き込んでみよう。ひとの数だけ、そこに<物語>があることを知るだろう。毎日を一生懸命生きるあなたもそれと気付かぬうちに<物語>を紡いでいる。もちろん、主人公はあなたである。

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「MODE」には他にもこんなテーマがあります。

  • 01

    文学をマンガする

  • 02

    イメージの実験工房