16 革命ごっこと戦争モード

戦争とは暴力、犠牲に由来する。権力が、対抗する権力に対して、暴力と犠牲を伴って権力の拡大を主張すること、またそれを阻止することが「戦争」である。一方、国家のなかで、時の権力が対抗する力によって転覆され、権力を行使するものが革まることを「革命」と呼ぶ。マンガは、現実の戦争のみならず架空の戦いが生んだ英雄譚、テロリストや反動分子、暗躍する忍びの者たちの活躍までも描いてきた。 この棚は空想世界での戦争や現実の社会問題、テロリズムがテーマである。マンガをきっかけに、新書や文庫を通してなぜ暴力や対立が生まれるのか、何が犠牲や被害の対象となるのかを考え、その起源やメカニズムを考察してもらいたい。

CORE BOOK

「革命ごっこと戦争モード」を象徴する本です。

レッド

「なぜこんな真面目な人物が命を落としてしまうのか? なぜこんなどうしようもないやつが生き残っていくのか?」サブタイトルは「1969~1972」。安田講堂陥落からあさま山荘事件まで、革命を目指す若者たちの青春群像劇が描かれる。エロティックで暴力的な作品を描いてきた著者・山本直樹は、本作においてそれまで以上に実験的な姿勢で歴史と向かい合った。主要な人物は「逮捕されるまであと○日 死刑確定まであと×日」と最初に提示され、途中で犠牲となる人物は登場する全てのコマでその順番が記された。

  • 16 01

    テロルの夢

    世界を騒がせているテロリストを見て、不安を覚える若者も多いだろう。だが、1970年代の日本でもテロは頻発した。日本人テロリストが海外の空港で銃を乱射し、爆弾で東京・丸の内のビルを吹き飛ばし、飛行機をハイジャックし、最後には身内同士で殺しあった。彼らはなぜテロに傾倒していくのか。そして、彼らはなぜ組織内部から自壊していくのか。大衆の恐怖(テラー)を手玉に取る彼らの姿を知り、現今の世界情勢理解の一助にしてほしい。

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  • 16 02

    国家に挑む

    S・キューブリック『2001年宇宙の旅』。動物の骨が武器となることを発見した猿人が骨を宙に放り上げると、それは一気に宇宙船へ姿を変える。人類の進化をわずか数カットで説明し切った、絶妙なるモンタージュだ。戦争が人間の文明を押し進めた事実に間違いはない。そうした視点から戦争の文明史的な功罪を学んでほしい。さらにそのうえで、人類が猿人から「人間」へと最後の進化を遂げられるかが、わたしたちの手にかかっていることも知ろう。

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  • 16 03

    幻影戦記

    神話学者ジョゼフ・キャンベルが物語の基本フォーマットとして挙げたのが<英雄譚>。すなわち、出立(セパレーション)、通過儀礼(イニシエーション)、帰還(リターン)である。若者、こと男性の場合、通過儀礼は闘争のかたちを取る。争い、相手に打ち勝ち、成長する。成長した若者は自分を育んでくれた共同体を今度は守る側に立つ。物語世界に活躍する若者たちが、闘争を通じてどのように成長していくのか。永遠の人気コンテンツである。

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  • 16 04

    心に刃を忍ばせて

    忍者は現代の若者が好む物語にも、スパイ、シーフ(盗賊)、アサシン(暗殺者)としてその属性が引き継がれている。だが、忍者はそれらを統合したうえでの破格、言うなれば、頭ひとつ突き抜けた者として欧米人には位置づけられている。任務遂行未了の死はすべて無駄とする彼らの考え方に、散華の美学を象徴する忍者のたたずまいが突き刺さるのだろう。戦国の世に活躍した者からファンタジー色濃い21世紀の忍者まで幅広い作品を取り揃えた。

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  • 16 05

    node(ノード)

    ビブリオシアター2F「DONDEN」には、「node(ノード)」と呼ばれる張り出した本棚がある。 各トピアの中の漫画・新書・文庫が、小見出しの軸をこえて交わる「結節点」として、意外で新たな本と出会う場へようこそ。

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「INTELLIGENCE」には他にもこんなテーマがあります。

  • 13

    犯人はこの中にいる

  • 14

    裁判長にもの申す

  • 15

    アウトローなヒットマン

  • 16

    革命ごっこと戦争モード