JUL 18, 2019

EVENT REPORT

リーンスタートアップ・ディスセクション(解剖)ミーティング

INTRODUCTION

企業家育成プログラムである「リーンスタートアップ」
今回のワークショップでは、実際に近大で行なわれたリーンスタートアッププロジェクトで優勝された大谷諒馬さん、阪井海歩さんをゲストに迎え、リーンスタートアップ・ディスセクション(解剖)ミーティングと題して行われました。

リーンスタートアップを解剖していこう

リーンスタートアップとは

現代、注目を集めているリーンスタートアップ(lean startup)
「lean」=「無駄が無く、効率的」、「startup」=「立ち上げる」という意味がある様に、
無駄な要素を最小限に抑え、改良を繰り返しながら完成度を高めるアプローチの事です。

従来のアプローチと違い、必要最低限のプランニングから始まり、開発や準備など最低限のミニマムスタートです。大きな特徴として、ユーザーの評価が悪かった場合、撤退する事も可能です。その為、無駄な時間やコストをかける事なく、ユーザーに求められる商品を開発できます。そうして地道に改善を短期間で繰り返す事で、最後ローンチする際には、完成度が高いものが出来上がる事に加えて、成功率を高められるという訳です。

リーンローンチパッドとデザイン思考との違い

デザイン思考は0→1を生み出す事が得意です。デザイン思考が、ユーザーのニーズ探索に長けている事に対し、リーンローンチパッドはその後、デザイン思考で発見したものをビジネスに仕立て上げる事が得意です。1→100という様に拡大していき、作り上げます。
また、共通する点としては、どんどん変更して良いという事。特定のアイデアに固執しない事がポイントです。

AGRISE

今回登壇して頂いた大谷さん、阪井さんのチーム名のAGRISEは、「agriculture 農業」を「rise 向上」させようという意味でつけたそうです。

電柵などのコストがかかるアナログな対策しか無かった鳥獣被害を課題として取り上げました。
収入的、精神的ストレスが大きい事にフォーカスを当て、鳥獣被害に悩む農家の方々を救うべく、ドローンや超音波、カメラ機能など既存の技術を組み合わせたシステムを開発したそうです。

具体的なアイデアとして、畑の周囲に複数の監視カメラとそれに連動したドローンを配置します。カメラが害獣を感知し、ドローンに伝えると、自動で向かい、二万Hzの超音波を出します。ドローンには、自動で向かい、自動で戻るというリターントゥホーム機能が搭載されており、人間の細かい操作無く、自動で管理する事が出来ます。

コストの面に関して、売り切りを想定していたが、意見交換をする中で、農家の方から「年中被害に遭っているわけでも無く、冬や害獣が出ない時期はいらない」という声がありました。この需要に応える為、必要な時期だけ設置する事で、農家のニーズに応える事が出来ます。また、加えて害獣が出るシーズン、メンテナンス、法律、値段などの面を考慮し、月額課金制に至りました。

プロダクトを売るのでなく、サービスとして売る

大谷諒馬

経営学部4回生

顧客を切り開く事にあたり、人間関係が大切だと感じたそうです。ペルソナとした大西さんからのコミュニティが広がり、一度作った関係性を売り切りの制度で終わるのでは無く、人間関係に重きを置きました。コミュニティが広がる事で、情報の収集性も高まります。

そして、観察調査に関しては、100件以上の農家を訪問したと言います。
学校に行く前の早朝に、一軒一軒足を運ぶという地道な調査を行ったそうです。
観察する中で、人々の服装にも傾向があったそうで、例としては、カジュアルな作業着の方は兼業農家が多い傾向にあります。なぜなら、専業農家の方は、農作業に長い時間を費やす為、部分的に破れている方が多いそうです。
服装を気にかけた事が、ターゲッティングとして良かった部分だったそうです。
ペルソナに設定するにあたり、共通点や特徴を見つける事で効率化を図れる事に加え、何よりも観察が大事だと改めて感じました。

また、匿名で質問や意見を投稿できるウェブサイトである「sli.do」を使用し、質疑応答も多く行われました。

その中で、
リーンスタートアップでは、変更が可能という事から、コンセプトが細かく変わる、大きく変わる場合があります。
大きく変わる場合でも、これまでの事が全て無駄になるのでなく、その過程で学んだ事を活かしたり、次の案に繋がる部分を残せたりする部分もある為、0からのやり直しになる事も少ないそうです。
アイデアに対し、引っかかる部分については、諦めるリミットを設けるなど、優先順位から外し、次のアイデアに行く事で、そこから実現可能性が高いものを選ぶ計画の管理も行っていたそうです。

また、案が被ってしまった経験談として、英語の文面でも読んでおくべき、法律の問題など、先にやっておかないといけない事を、失敗を重ねる内に学んだとの事です。

プロトタイプ

初めて聞く人たちにサービスイメージが分かりやすいように、動画を制作しました。
プロトタイプは最後プレゼンで見せる際に、評価者の方にどう伝えるかという所で、一つキーポイントになります。日本語と英語の様に言語の壁や、プレゼンが無くても自分達のアイデアの内容が評価者に把握出来る様な、プレゼン資料制作を心掛けたそうです。この点に関して、私達も今後気をつけていきたいと学びました。

失敗という概念は存在しない、あるのは成功か経験

スティーブ・ブランク

この言葉はリーンスタートアップで関わった方の中で、一番刺激になった、投資家のスティーブさんのアドバイスの中で印象に残っている言葉です。

失敗では無く、経験と捉え、次に活かしていく。
人生においても通じる言葉だと思いました。

また、日本とアメリカでのプレゼンの違いがあります。
日本では発表者と聞く人、という堅苦しい感じで、プレゼン途中に質問が飛んでくる事はあまりありません。
ですが、アメリカでは途中でスライドを戻して説明する事もあったそうです。
ラフな感じで発表が行われたりと、あくまで中身が重要であり、形は関係ないといった違いを感じたそうです。

     諦める事を知らない、泥臭く

大谷諒馬

経営学部4回生

「アイデアが無くても絶対ひねり出せ」
根性でアイデアを出し続ける、泥臭い部分があったと言います。
AGRIZEの中での共通の認識として、「勝ちたい」という一つの揺るがない軸があった所がモチベーションとしても大きいです。長いプロジェクトの中で、根本にこの共通認識がある事で、
あと一歩の所でも妥協をしない、チームが上手く回る事にも繋がると感じていたそうです。
また、それぞれ個人の違う部分もリスペクトがある点が、チームとして大切な部分です。

リーンローンチパッドが終わった現在もAGRISEでの活動は続いているそうです。
今後のAGRISEの動向に注目です。

EDITING TEAM

  • WRITER

    藤原華乃

    経営学部3回生