INTRODUCTION
今回のゲストは株式会社 NEXERA CBO 山本龍之介さん(以下 山本)。約70名もの学生がオンラインで参加するなか、等身大の起業ストーリーをプレゼンしていただきました。
起業に興味なくても起業した。
山本:はじめまして、株式会社 NEXERA CBO 山本龍之介です。兵庫県出身の25歳で、学生時代は経済学を勉強していました。CBOというのはボードゲームにおける最高責任者です。個人としてもボードゲームのクリエイターとして活動しています。
会社はボードゲームを使用したビジネスを展開しています。皆さんが想像しているのは遊びのボードゲームだと思うのですが、弊社は企業研修としてのボードゲームを提供しています。
企業研修というのは、企業の偉い人が社員に向けて長時間話すというのが一般的です。しかし、一方通行で受け身の研修になるため退屈に感じるという課題があります。
僕たちはそれを解決するアプローチとして、財務やマーケティング知識などの会社経営を実践的に学べるボードゲームを提供しています。
ゲームですがビジネスを気軽に体験できるため、学習効率がよく実用的な学びです。
現在、大企業からメガベンチャーまでと幅広い企業で導入いただいています。他にもピッチコンテストで最優秀賞を頂き、NewspicksのMAKE MANE¥という番組にも出演しました。
弊社はボードゲームのサービス内容だけではなく、会社としてのビジネスモデルも評価していただいています。
起業に興味がなかった
山本:大学生の時から起業に興味があったわけではなかったです。大学一年は稼業であるフラワーショップを継げたらいいと思っていました。そのため、学業に真摯に取り組んでいたわけではなく、フランス語を勉強していたくらいです。当時はシェアハウスをしていたので、そこで友人とボードゲームをして遊ぶ日々でした。
三年生くらいから海外旅行にハマってしまいます。アフリカや中東を旅に出たり、フランスに留学も行きました。貯金しては海外旅行に行き、日本にいるときは映画を鑑賞する。五年生まで自分のやりたいことをずっと繰り返していました。
ボードゲーム世界はを表現できる
山本龍之介
株式会社 NEXERA CBO
この時、自分はボードゲームの凄さに気づきました。小さい頃から大学生になってもボードゲームで遊び続けていました。すると、ボードゲームで世界を表現できるのはないかと徐々に思いはじめます。
例えば、「人生ゲーム」は人生を縮図にして、何度も人生を楽しむことができる。モノポリーも土地の売買をゲーム上で気軽に楽しむことができる。これら体験を通じて、この世の中はボードゲームで全て表現できるのではないかと確信しました。
それがちょうど大学六年生の時です。ここから僕は動き始めました
その頃、「お金2.0」や「革命のファンファーレ」という著書がブームを起こし、信用はお金になるという論調がトレンドでした。これを見て信用経済をテーマにしたボードゲームを作りました。
それは遊びはできるけど、モノとして売るのは程遠かったです。
けど、これ印刷して売ればお金を儲けることができる。
何も知らなかった僕ですが、ひたすらボードゲームを作っていました。
社会と起業をしる
山本:さすがに卒業も近くなり就職活動を始めます。友人に紹介された“リクルート”を受けました。しかし、準備不足のためガクチカを上手に話すことができずに落ちます。
そこで、日本で一番大きいボードゲームカフェである”ジェリージェリーカフェ”を知りました。新卒募集はしていなかったのですがメールをしました。
お返事がきて、お話しをする機会をいただきました。
「ボードゲームは長時間の遊び。そのため、回転率が悪くてカフェとして運営するのは難しい。社員にはなれないが、面白いビジネスがあるのなら試していいよ。」
と言っていただけたのですが、結局は自分でしなければいけない。ということに僕は気づきました。
そこでボードゲームでの起業を考え始めます。まずは”スタートアップカフェ大阪”という無料で起業相談ができるカフェに相談をしに行きました。
すると、40年程前にボードゲームを企業研修に用いるケースがあるので、昔のビジネスを現代に合わせてアレンジをしたらどうだろう。とアドバイスを受けました。
ちなみにその相談に乗ってくださった方が、現在の共同代表になっています。
スタートアップとスモールビジネス
新規で事業を立ち上げるときはスタートアップとスモールビジネスの大きく二つに分かれています。お金の動き方でどちらなのかが変わります。
皆さんが想像される一般的なITを駆使した事業は「スタートアップ」です。最初に多額の資金調達をして、アプリ開発や認知拡大にお金を投資します。そこでの成功に賭け、売上からお金を返していきます。かなり激しいお金の動きをして、当たるかは分かりません。そのため、かなりの確率で失敗する。それを考えるとスタートアップはなかなかチャレンジなことをしています。
もう一つは「スモールビジネス」です。先ほどみたいに多額の資金は使いません。ゆっくりとお金を稼ぎつつ、お金を少しずつ借りて着実に伸ばしていくモデルです。
僕たちはこれを掛け合わせた「スモールスタートアップ」という独自のモデルをとっています。
最初に少しお金を使ってボードゲームを企業に提供していく。ボードゲームはアプリ開発みたいにお金がかかりません。少しずつ貯めて、ある程度伸びてきたところでグッとお金を借りる。
これができるのはボードゲームならではの良さです。人件費や家賃がかからないので固定費が少ない。ボードーゲームの制作費用も少ないので利益率が高い。これらがスモールスタートアップをできている要因です。
失敗もたくさんしました。
起業して一年と少し経ったとき、賢者屋さんで初めてのイベントを開きました。しかし、イベントの参加人数は0人です。その後も企業研修のはずなのに学生が数人で開催する、と全く好調ではありませんでした。
なにより僕たちはB to Bのビジネスです。やはり、学生に企業研修をさせることにハードルがありました。信用を獲得するためにTwitterで発信しても難しいです。どうすればいいのだろうと思い、ビジネスコンテストに出場しました。
これは覚えといてほしいのですが、コンテストに出場するには目的が必要です。
優勝や賞をいただく事がゴールではありません。一番目立って認知してもらう、など場合によって目的を定めると良いと思います
コンテストに出場すると、起業家は孤独なことが多いので、まわりに仲間ができます。他にも未来の顧客と出会えたり、プレゼンすることで現状を整理できたり、とたくさんの活用方法があります。
起業に必要なこと
山本:まずは考える癖をつける。顧客が何を求めているのか、何が足りていないのか、たくさんのことを考える必要があります。
そして、自分が得意で自信を持てる何かを持つ。20代は力不足なので、大人に助けてもらわないといけない。けれど、思いだけは誰にも負けてはいけません。僕はただボードゲームが好きでした。
最後は楽しく頑張る。シンプルですがこれが一番応援されます。若いうちはパッションをもって頑張りましょう。
貴重なお話ありがとうございます。最初の企業研修はどのように取り入れてもらったのですか?
山本:やはりB to Bのハードルは高く、知り合いの社長に声をかけてもらいました。「試しにやってみなよ。」と言っていただき、初めて導入していただきました 。
実際にスモールビジネスからスタートアップへの転換期はどのようなタイミングだったのですか。
山本:東京でビジネスを展開しようとした時です。東京はビジネスの激戦区なので、目立つためにも資金調達が必要でした。キャッシュも貯まっていたので、有名な株主を迎えるための資金調達でもありました。
川添:双方とも機会と信用が重要であることが伺えました。ありがとうございました。
起業は選択肢
私や友人も内定取り消しや選考中止が続く中、就職は安泰という考えが変化しています。パンデミックで人のライフスタイルが急激に変化し、課題に溢れています。本講座がきっかけとなり、時代の変化を捉えビジネスチャンスを発見する近大生がたくさん出てくるでしょう。
EDITING TEAM
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代表
川添 陸
0-10Studio