30 食いしん坊の日常
素材を集め、下ごしらえを行い、焼く、煮る、蒸す、炒めるといった調理をし、皿を選び、盛りつける。料理は情報編集のプロセスであり、もてなし・しつらい・ふるまいのホスピタリティの粋でもある。 マンガは料理をつくるもの、食べるものの一挙手一投足、口に入れた瞬間の表情と感情、調理場から立ち上る湯気や皿に盛られた料理の質感までを、コマの中の絵と文字を組み合わせることで瞬時に伝えることができる。 家庭料理や食べ歩き、酒とつまみといった身近な話題から、その奥にある技術、文化、歴史、コミュニケーションにまで、マンガ・新書・文庫を一気通貫して知を深めていく書棚。
CORE BOOK
「食いしん坊の日常」を象徴する本です。
美味しんぼ
『ラーメンと愛国』の著書で知られる速水健朗によれば、安全や味のためにお金をかけることを厭わない「フード左翼」の代表が『美味しんぼ』であり、安さと量を重視する「フード右翼」の代表が『孤独のグルメ』であるという。東西新聞の山岡士郎による「究極のメニュー」と帝都新聞の海原雄山が提供する「至高のメニュー」の対決は親子の意地の張り合いでもある。日本全国からより高級な食材、器、職人の技術を日夜求め続ける。
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30 01
風味・滋味・妙味
和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことは記憶に新しい。無形文化遺産とは、慣習、描写、表現、知識及び技術、それらに関連する器具や物品、加工品及び文化的空間を対象とするそうだが、では具体的に和食の何が評価されたのか。和食に潜む方法は何か。この書棚では高級和食に限定せず、日本の食文化と歴史を、食材の特色や調理の方法、工夫といった視点を絡めながら読み解いていきたい。 -
30 02
味をきわめる通人
人類は何を食べてきたのか。狩猟、農耕社会における食生活とは、世界をまたにかけた料理とは、空想の食材とは。食の世界は広大で奥深く、地理や環境、社会や時代によっても多種多様である。香辛料や珍味から高級食材まで、セカイを舞台に繰り広げられる食の歴史や文化をたどって、人間と食の関係を考える。 -
30 03
舌をうならす職人
グルメを唸らせる職人技には、数多の方法が潜んでいる。材料を集めて下ごしらえ、調理して器を選び盛りつける、文節化したプロセスこそが編集といえる。また味、彩、香など五感を刺激する料理は、芸術にも喩えられる。伝統を受け継ぎながらも斬新な料理を生みだす、その方法の秘密を探り、さらに場面を読み替え他の分野と結び、方法の知を深めていく。 -
30 04
器をいろどる達人
料理人だけが技や方法を駆使して料理を提供しているわけではない。食文化はメインの料理だけではなく酒や茶などの飲料や食後のデザートまで、調理だけではなく接客や給仕まで含む。この書棚では、酒を仕込む杜氏やワインを選ぶソムリエ、菓子をつくるパティシエ、接客や給仕を担当するウェイターなど食文化にまつわる人々の熱意や技術、しつらいやもてなし、ふるまいの極意に触れ、ホスピタリティのおおもとを学ぶ。 -
30 05
朝の食卓・夜の食堂
ここでは料理の作り手から目を転じ、受け手の側にたって食を考える。食事とは、人が生きていくうえで必要な栄養を摂取する行為だが、いつどこで誰とどのように食べるかということがとても重要だ。食事は快楽や娯楽、コミュニケーションでもあり、食生活は慣習や文化のなかで育まれてきた。いくつもの食事風景を通して、食事が人にもたらすものとその効用について考えてみたい。